BLOG

【GROWLYからの大切なお知らせアリ】 ライブハウスの入場時ドリンク代を0円にする方法

こんばんは。

(株)ケイピーエス代表角田恭平(病み上がり)です。

京都のライブハウスGROWLY、音楽スタジオAntonio、カレー屋240、三重のライブハウスANSWERの4店舗を経営しております。

(他にも色々やってますが)

今年も残す所あと2ヶ月を切りましたね。

---
【2018年1月17日追記】
このドリンク代のブログをきっかけに、新しいブログを立ち上げました。
こども社長の魔法のブログ
こちらもよろしくお願いします。
---

 

超いきなりですが、

GROWLYは2018年1月1日より

入場時のドリンク代を500円→600円に値上げさせていただきます。

(入場時にチケット2枚お渡しします。アルコールと交換なら2枚必要、ソフトドリンクと交換なら1枚必要という制度は継続いたします)

 

値上げに関しては、GROWLYに来ていただいてるお客様、使ってくださるバンド・イベンターの皆さまにご負担をおかけすることになるので、申し訳無く思っております。

 

「ドリンク代0円にする方法ってタイトルで、いきなり値上げしますとか頭おかしいんちゃうか!?」

と早速突っ込みが飛んで来そうですが、600円に値上げする経緯と、0円にする方法をちゃんと考察していきますので、良ければ最後までお付き合いください。

 

※このブログでは色々書きますが、あくまで僕個人の考えです。違う考え方でライブハウスを経営されてる方もたくさんいらっしゃると思います。

あくまで一例として捉えてください。

 

※めちゃくちゃ長くなっています。「来年からドリンク代あげまーす!ごめんなさーい!」の一言だけで済ませたくなかったのでこのブログを書こうと決意した結果こうなったので、読んで欲しいですし、最後まで読んでくれた人大好きです。

特にバンドマンにも読んで欲しい!!
(めちゃくちゃ長いですが、うちの敏腕店長安斎に読ませた所、5分で読めるって言ってました。)

 

■ライブハウスに入場する時のドリンク代とは

一度でも「ライブハウス」という場所に来たことある人はわかるかもしれませんが、ライブハウスに入場する際には「チケット代」とは別に「ドリンク代」というものがかかります。

ドリンク代は大抵500円が相場でしたが、消費税の増税・酒税の増税を背景に、600円に値上げするライブハウスが近年増えています。

全国の「ライブハウス」と呼ばれる場所の9割以上はこのドリンク代制度を導入していると思われます。

簡単に説明するなら、居酒屋の「お通し」的なヤツですね。

「頼んでないのにおつまみ出されて、レシート見たらきっちり取られてるー!!」的なヤツです。

 

■なぜドリンク代の相場が500円だったか

これには諸説あると思いますが、僕なりの見解を書きます。

 

まず一つ目の理由は、「ワンコインだから」だと思われます。

チケット代が1500円だったら2000円になるし、2000円だったら2500円、2500円だったら3000円という風になります。

前売りチケットをプレイガイド等で購入された場合は、チケット+500円という形になりますよね。

ライブハウスは、時に100人以上のお客さんを、30分という短い時間で入場させなければいけません。

その為に、お釣りが細かくなったり、ピッタリお金を用意できない場合に時間がかかるので、その手間を省くためです。

 

二つ目の理由として、「多様なドリンクの値段を平均化した金額だから」もあると思います。

ライブハウスにはコーラやウーロン茶等のソフトドリンクから、ビールやカシスオレンジといったアルコールまで多く取り揃えてる所が多いです。

その値段を平均化したものが500円だったからだと思います。

 

■ドリンク代500円の内訳

飲食店を経営されたり、経理を担当されたりした方はわかるかもしれません(これから勉強しようという方も必ず通ると思われます)が、飲食店の値段の決め方の法則に「原価3割」というものがあります。

「原価が3割になるように売値を付ける」ということです。

例えば、仕入れ価格が税込100円だとしたら、売値は税込333円が適当です。

仕入れ価格が税込200円だったら、税込667円が適当です。

 

「残りの7割が儲け?」と思われるかもしれませんが、違います。

一般には「原価3割+人件費3割+販管費3割」で9割を占め、残りの1割が利益だと言われています。

人件費はわかりますよね。販売員のアルバイト代や給料です。

販管費は正式に書くと「販売費及び一般管理費」の略称です。

GROWLYでいうと、冷蔵庫・製氷機の購入金額・リース代、電気代、メンテナンス費用、設置してる場所の家賃、水道代、コップ代、洗剤代等です。

 

「1杯のドリンクを出すのにも、それだけの費用がかかってるのかー。」ぐらいで良いです。もし知らない人がいたら少しでも知ってもらえると嬉しいです。

 

GROWLYのドリンクは、仕入れ価格が100円前後の物もあれば、200円を超える物もあります。

なるべく仕入れ価格が100円に近いものは300円で、200円に近いものは600円で販売することで、お酒を飲まない人にも平等に感じて欲しくて、ドリンクチケット2枚制度を導入しています。

300円で飲めるお酒も用意しています。

僕も昔はお酒が飲めなかったので、「500円でコーラ1杯は高いなぁ」と思っていました。(実際に今も高いと思う)

それを解消するために考えたシステムです。

 

上述した「ソフトドリンクからアルコールまでの販売価格を平均化した金額が500円」だったのは、このシステムが始まった頃の物価・税率ありきの計算だったと思われます。

僕が初めてライブハウスに行った頃は消費税は3%でした。

ところが現在は消費税8%、酒税もあがり、2019年には消費税が10%に上がると言われてます。

 

実は、このシステムを導入したオープン当初から、500円だと採算が取れないのはわかっていました。笑

GROWLYがオープンする時には既に消費税も5%で、8%に上がると言われていたので、時代的に500円設定に無理があったと思います。

消費税が5%→8%に上がったタイミングでドリンク代を600円に上げたライブハウスも増えましたが、GROWLYは意地で耐えて来ました。

なんとか今年まで頑張ってきましたが、酒税・消費税の値上げでトドメを刺された次第です。

(税金については後述します)

 

■そもそも、なぜドリンク代が必要なのか

なんか数字がいっぱい出てきてすみません。

なるべくわかりやすいように書いていきたいと思います。頑張ります。

 

どこのライブハウスが始めたかはわかりませんが、僕がライブハウスに最初に行った約15年前からこのシステムはありました。

上記のような経費がかかるのに、なんでそこまでしてドリンクを売ろうとするの?と思うかもしれません。

ドリンク自体を売らなければ、お客さんも安くでライブハウス来れるのでハッピーじゃん?と思う人もいるかも知れませんが、そうは問屋が卸しません。

そもそもの始まりは、「ライブハウスは飲食店である」という概念に基づいていると思われます。
ライブハウスをやる事業者は「飲食店営業許可」か「興行場の許可」のどちらかを取らなければなりません。
(話題の「風営法」はオールナイト営業等にかかるいわゆる"クラブ"の方なので、ライブハウスは該当しません)
比較的小さい(キャパ300以下くらい?)の場合は飲食店営業の方が取りやすいので、街の小さなライブハウスはほぼすべて飲食店営業許可を取って開業しました。

しかしいざ始めて見ると、日本人は音楽を聴きながらお酒を飲まない。
ソールドアウトするような人気のバンドのワンマンの時に誰もドリンクを頼まない。
バーカウンターを維持して行けない。。

ライブハウスは飲食店である→バーカウンターが必要→ドリンクを強制的に売るシステム(1人1杯くらい飲んでよ)が必要

そうやって生まれたのがこのドリンクシステムです。(妄想)

 

このドリンクシステムはものすごく画期的なシステムで、僕は導入した人がもし名乗り上げてくれるなら、握手してツーショット撮ってインスタにあげたいくらいです。

(インスタ始めました。アカウントはツイッターと同じkyoopeesです。)

 

どこが画期的か、めちゃくちゃ簡単に説明します。

まずバンド・お客さん側から言うと、「お酒が回ってくると楽しくなってきて、音楽自体が楽しみやすくなる」というメリットがあります。

これは、もしかしたら日本人には伝わりにくいと思いますが、ライブハウス(という建物は日本独自と言われてます)が発祥した海外では、ライブはバーの一角にあるスペースで演奏され、客は酒の余興として楽しむものだとされてます。

※これも諸説ありますので、あくまで僕の見解です。

そしてお酒があればバンド同士、お客さん同士、バンドとお客さんも話しやすくなって距離が近くなります。

お酒と音楽は密接な関係にあって、楽しくなればバンドもお客さんもハッピーになれます。
盛り上がってないライブより、盛り上がってるライブの方が楽しいですよね。その為の導入材的な役割です。

 

ライブハウス側から言うと、「他にかかってる経費を軽減してくれる」という側面があります。

ドリンクの利益を他の経費に回すことによって、経営を続けていけるので、三者ハッピーなシステムだと思っています。

 

■ライブハウスの経費内訳

また数字の話かー。頑張って書くので頑張って読んでください。

何にいくらかかってるのか羅列しようと思いましたがキリがないのでぶっちゃけて言います。

GROWLYの立ち上げにかかった費用は…●千万円です!

●の中の数字は、、、そうですね、、、5に近いです。笑

もちろん全額僕が持っていたわけではありません。いろんな方面から借金をしました。

それを毎月●十万円ずつ返済しています。あと5年くらいはかかるかな、、。

 

それとさらに、何か壊れたら修理代もかかりますし、どデカイエアコンも付けてるし照明もチカチカしてるので電気代もアホほどかかります。

電気代は僕の住んでる家と比べると、約100倍かかってます。(リアルに)

そして働いてる人、イベントを組む仕事の人、音響や照明をする人、ドリンクカウンターや受付にいる人、もちろん全員に給料を払ってます。

僕がこの会社を立ち上げた理由はたくさんありますが、その大きな一つに「"音楽業界の会社はちゃんとしていない"というレッテルを貼られたくない」というものがありまして、これはまた違う機会に詳しく書けたらと思いますが、とにかく、ちゃんと給料を払う会社でありたいと思っていまして、スタッフが胸をはって「ケイピーエスで働いてる!」と言える会社にしていきたいと思っています。

 

ザックリ書きましたが、ライブハウスを立ち上げて、それを維持するのにめちゃくちゃお金がかかるっていうのが伝わればそれで大丈夫です。

 

■売上と仕入れ価格と税金の関係

また数字の話ですねー。頑張って簡潔に書きますね。

 

従来のドリンク代500円を例に書きます。

この「500円」という数字は、税込み価格ということになりますが、正確には税抜き463円です。

ドリンクの販売価格は、本体価格463円+消費税37円=税込500円ということになります。

でも、500円の中に消費税が入ってるかなんて、あんまり考えた事ありませんよね?

ここに最大の罠があります。

原価が税込150円(税抜き139円)なら税込500円で販売出来ますが、原価が税込162円(税抜き150円)なら税込540円で販売しなければいけません。

もし仮に原価が税込162円の物を税込500円で販売した場合、会社に残る利益は何と、、、

1円」です、、、、!(注1)

 

GROWLYでは、アルコール類の仕入れ価格は大体税込200円前後です。

税込仕入れ価格が税込200円を超えるものあります(ビールは税込200円余裕で超えてきます、、、!)から、540円では足りない場合が多々あるのです。

 

■酒税の話

酒税の話が抜けてますよね。2017年6月1日から酒税が上がりました。

これに関しては、アルコール度数とかで税率が変わってくるので、簡単に言うと、「酒の製造者が出荷する時にかかる税金」です。

この税金が上がりました。

なので、酒のメーカーさんが酒屋さんに出荷するときの税金が上がったので、今までと同じ利益を取りたければ、出荷する値段が上がります。
実際にGROWLYが仕入れてる酒屋さんでも仕入れ価格が上がりました。

従って、酒屋さんからお酒を仕入れるライブハウスなどの飲食店も、今までより仕入れ価格が上がったのです。

 

メーカー → (酒税アップ) → 酒屋さん → (消費税アップ) → ライブハウス → (販売価格アップ) → 消費者

という感じですかね。

 

これが、増税による販売価格の引き上げの理由です。

税金ダブルアップはきついぜえ。。

 

■なぜドリンク代の値上げが相次いでいるか

と、まぁここまで書いて来た通りなんですが、一言でまとめると、

「お酒の利益を従来よりあまり減らない様にして、その利益を他の経費に回すため」

です。

そのままの販売価格で売り続けると、酒税アップ&消費税アップによって上がった原価をライブハウスが全て負担することになりますからね。

 

■ドリンク代を0円にする方法

やっと出て来ました。タイトルのやつ。

ここまで書いて、そんな方法あるんですか?あるんです。

ズバリ言います。

「他の売上を上げる」

もしくは

「他の経費を下げる」

です。

 

※あくまで、現状のライブハウス(GROWLY)のスタイルを変えずにやれること考えます。

 

具体的に言いましょう。

まず「他の売上を上げる」=「チケット代、ハコ代を上げる。」

これではお客さん、出演バンドに今まで以上の負担をかけてしまいます。

 

GROWLYのスタイルとして、なるべく低価格・負担を少なくし、イベントを行う事で音楽シーンの活性化・発展を目指しています。

「今でも充分たけーよ!」と言われたらそれまでですが、現状維持するには、上記した様にお金がかかるので、現状の価格設定でもギリギリなのです。

 

では「他の経費を下げる」ではどうでしょう。

これには大きく分けて二つ方法があると思います。

「バンドのチャージバック(ギャラ)を下げる」

と、

「ライブハウスの設備や機材のランクを落とす、壊れても修理しない、スタッフの給料を下げる等」

です。

どちらも、個人的にはしたくありません。

「いやいや、ここの経費下げろよ!」という意見が多ければ検討しますが、なるべくやりたくありません。

逆に言えば、この経費に関して言えば、将来的にどれも上げて行きたいと考えています。

バンドに返せる分は多くして行きたいし、設備や機材はもっと充実して良い環境を提供して行きたいし、ちゃんと給料を払って働くスタッフのモチベーションを上げるとともに雇用をもっと産出していきたいです。

「雇用の産出」に関しては、音楽シーンを飛び越えたテーマになって来ますが、これも真剣に考えています。

 

■というわけで

めっちゃ長くなりましたが、「来年からドリンク代あげまーす!ごめんなさーい!」で済ませたくなかった結果、ここまで長くなってしまいました。
オチが一休さんの「屏風の虎」じゃねーかよ!と言われたらそれまでですが。笑

 

入場時のドリンク代は上がりますが、おかわりの現金価格は500円を維持していきたいと思っています。

300円で飲めるアルコールも用意しています。

「nomoca」という3杯分払うと1杯分が安くなるシステムも導入しました。

今後も、税金等と戦いながら、楽しめるライブハウスを作っていきたいと思っています。

 

このブログを読んで、「あのこどもみたいな社長も色々考えてるんだな」くらいに思ってくれたら嬉しいです。

決して、「他のライブハウスも上げてるしうちも上げるか!」みたいな安易な考えではないです。

 

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

今後も、より良い環境を整えて維持することが、バンドのため、お客さんのため、会社のため、京都の音楽シーンのため、日本の音楽シーンのため、社会のためだと思っていますので、頑張っていきたいと思っております。

 

「入場時ドリンク代600円かー、高いなー」と思われるかもしれませんが、ご理解頂き、その1杯、あと1杯が京都の音楽シーンに繋がる様、努力していきたいと思ってます。

(GROWLYではドリンクを持ち込みされる方がすごく少ない様に感じてます。ありがとうございます。)

 

今後ともよろしくお願いします。

 

平成29年11月13日

株式会社ケイピーエス代表取締役

角田恭平(33歳独身)

 

※文中にも書きましたが、あくまで私個人的な考えです。

「うちのライブハウスは全然ちげーよ!」って方、怒らないで下さい。笑

飲みに行きましょう!

---
【2018年1月17日追記】
このドリンク代のブログをきっかけに、新しいブログを立ち上げました。
こども社長の魔法のブログ
こちらもよろしくお願いします。
---

 

(注1)ドリンクの販売価格が500円で、消費税の40円を上乗せしなかった場合の計算をしてみます。

「原価3割+人件費3割+販管費3割」で考えていきます。

あくまで計算上の数字です。

 

仕入れ価格が3割なので税抜き150円ですよね。

でも税込仕入れ価格は162円です。

500円-162円=338円が粗利と呼ばれるものになります。

ここからさらに販管費を引きます。

販管費も売値の3割なの税抜き150円だとしたら、税込価格は162円です。

338円-162円=176円。

さぁ、ここから人件費を引けば利益になる?と思いきや、ここでのしかかってくるのが消費税です。

消費税は、売上から人件費以外の経費を引いた、残りの金額の中の8%を国に納めなければいけません。

わが会社は上述した通り、社会的に胸をはっていきたい会社なので、当然税金は払います。

176円×8/108=13円。

よし、13円を払ったら163円残ったぞ。

人件費にも3割払うから162円を引いて…

163円-162円=1円。

……1円???

500円売上あって、会社に残るの、1円???

(逆に1円残って良かったけど、仕入れ価格がもう少し高かったら赤字だよ…)

※あくまで計算上です。1杯出したら給料を出すみたいなシステムではありませんからね。笑

 

そうです。これが罠なのです。

仕入れ価格が税込162円として計算してるのであれば、販売価格は

162円×10/3=540円。

540円が正解なのです。

売値の500円にも消費税率8%をかけてみましょう。

500円×8%=540円。

ピッタリ合いました。原価150円のものを500円で販売したければ、税込540円でもらわなければいけないのです。

(きっちり消費税を上乗せして税込540円で売った場合は、38円利益が残ります。)

逆に言えば、税込500円(税抜き463円)で販売する為には、原価は税込150円(税抜き139円)で押さえなければいけません。

税抜き139円では、ビールは仕入れられません。

話題のブログ「動員の少ないバンドはライブするのを止めてもらえないだろうか」に、ライブハウスオーナーが答えてみた

お久しぶりにブログを書きます。
(株)ケイピーエス、角田恭平です。

---
【2018年1月17日追記】
新しいブログを立ち上げました。
今後は上記ブログを更新していきます。
こちらもよろしくお願いします。
---

海保けんたろー(@kentaro_kaiho)さんのブログが話題になってますね。
ちょっと時間が経ちましたが、ライブハウスオーナーとして、アンサーブログを書かせて頂きます。
海保さんのブログを読んでいない方はこちらをご覧下さい。

まず、書きたいと思った理由。
それは、あのブログを読んで、誤解する人が出て来るだろうなぁと思ったから。
そしてそれが、ライブハウスシーンの未来に明るいものでは無い可能性があるなぁと思ったから。

その前に、私を知らない人の為に。
京都のライブハウス、GROWLYのオーナーをやっております。
今年で丸5年が経ちました。
熊本に生まれ、大学進学で京都に移り住み、バンドでドラムを担当し、CDリリースや全国ツアーを経験し、祇園の老舗ライブハウスWHOOPEE'Sで働き、会社を立ち上げGROWLYをオープンさせました。
GROWLYオープンの経緯は、こちらをご覧下さい。

それでは本題に移ります。
始めにいっておきたいことがあります。
それは、海保さんの本来の意図である、「ライブハウスシーンを良くしたい」という想いは、恐らく一致してると思います。
あくまで、海保さんの批判ではなく、補足。
京都にあるキャパ200人のイチライブハウス側の意見です。

指摘、補足したい部分を、海保さんのブログの流れに沿って書いていこうと思います。

■まず前提として。
>この海保さんのブログは、明言はされてませんが、「都内のライブハウス」に限定されてる様に思われます。
(後の方に「一気に都内のライブハウスが、一気に4分の1程度まで減るのだ。」と書かれているので、推測。)
海保さんは都内のライブハウスで何かを感じたのでしょう。

ただ、このタイトル、この書き方だと「全国のライブハウス」を対象にしてるとも取れるので、京都のライブハウスからも声を上げさせてもらう次第となりました。

■「趣味バンド、ノルマなしバンドはいい」について。
>これに関しては、僕も近い意見を持っています。
ライブハウスでライブをするということは、基本的に「ライブをしたい!」という気持ちがある人は全員が平等に持っていい権利です。
「こんなバンドはOK」「こんなバンドはNG」とかは基本的には無いと思います。
そのライブハウスのルールに則って、人を傷つけない限りは、誰でもライブをやっていいと思います。

ただ、海保さんはあのブログで言いたいことは、「もっとライブハウスの質、出演するバンドの質を上げて欲しい」というのが目的だと思うのですが、「趣味バンドは良い」とおっしゃるのは何故でしょう?
見に行ったライブに、趣味バンドが出ていても、文句は無いのでしょうか?
趣味バンドなら集客をしなくていいというは何故でしょうか?
「趣味バンドは本気バンドと対バンを混ぜるな」とか、「趣味バンドは趣味バンドだけのイベントに出ろ」等は書かれていません。
ここについては矛盾が生じます。

また、「ノルマなしバンドは良い」のところもちょっと引っかかります。
「ノルマなしバンド」とひとくくりに言っても、「ノルマなし」になったのは様々な理由があると思います。
その理由に言及せず、「ノルマなしバンドは良い」は何故でしょうか?
逆に私は、「意味の無いノルマなしバンドは悪」だと考えてます。
このブログを読んだ若いバンドが、「ノルマなしでライブハウスに呼ばれたら良いんだ」と勘違いし、何も考えず「ノルマのあるイベントは出ません」と言い続けることこそ、ライブハウスにとっては悪だと思います。

■「趣味バンド、ノルマなしバンドはいい」の最後の文章について。
そして、海保さんのブログの最も言いたい部分であると思われる「問題なのは、いわゆるプロ志向でありながら、チケットノルマを課され、それ以下の動員しかできない、というようなバンドである。」の部分。
ここですね。物議を醸す所は。
これについて、はっきりしとした理由が書かれていません。
推測ですが、海保さんは「動員出来ないバンド」=「良くないバンド」と決めているのではないでしょうか。
もちろん、「動員出来ないバンド」→「良くないバンド」もしくは「良くないバンド」→「動員出来ないバンド」は成り立つ場合も多々ありますが、必ずしもイコールではないと思います。
海保さんが新たに書かれた「謝罪と反論」に書かれている「チケットノルマ以下しか動員できないバンドは、ライブを休んで頭を使え」は支持する考え方でありますが、動員が出来ないバンド=悪という考えには賛同出来ません。
何故なら、動員はあくまで「結果」であり、イベント当日しかわからないからです。
努力をしないバンドは良くないと思います。
しかし、その努力が1回のイベントで実らなかったら、ライブを止めてしまえというのは、あまりにも乱暴ではないでしょうか。
バンドマンの「挑戦」を奪ってしまうことは、良くないと思います。

先にも書きましたが、私は、ノルマが有り無しに関わらず、「集客努力をしないバンド」は良くないと思いますが、「集客が出来ないバンド」を一括りに悪とするのには反対です。

■「ライブハウスを取り巻く問題」について。
ここのタイトルについても、一つ一つアンサーを出していこうと思います。

・スタッフが愛想悪い、分煙がされていない、ドリンクが薄い、食べ物がない、などの「ライブハウス・サービス悪い問題」
>大事な意見ですね。しかし、上記に上げられているもので、お金をかけずに解決出来るのは「スタッフが愛想悪い」のみです。
海保さんはライブハウスを立ち上げたこと、経営したことは無いかもしれないのでわからないかもしれませんが、現状営業をしてる店舗のスペースを増築することに関しては、ものすごい費用がかかります。
もしくは、お金だけ払えば済むという問題でも無いところもあると思います。

「分煙」に関してはスペースが無いと難しいです。(ちなみにGROWLYはホール内禁煙です。)
ただ、最近は健康増進法の施行により、分煙を義務づけられて来ているので、あながち誤った指摘ではありません。

「ドリンクが薄い」に関しては、ちょっと意味を汲み取るのが難しいですね。
「カクテルのリキュールが少ない」ということでしょうか。
「氷が多過ぎる」ということでしょうか。
いずれにしても、ライブハウスのドリンクスタッフはマニュアルに従って提供しているので、それがその店のフォーマットです。ファストフード店やファミリーレストランで同様のクレームを出してるのと同じです。
法律で「コーラを出す場合にはコーラと氷の割合を3:1にしなけらばならない」と決まってませんよね。
そのお店ごとで、ドリンクの提供の仕方は異なりますし、それがダメなことでは無いと思います。
ちなみにGROWLYでは、リキュールの濃さ、氷の量に関しては、言って頂ければ調整する様にスタッフに言っています。(限度はありますが)
一度、そのライブハウスでも言ってみたら、対応してくれる所はあるかもしれませんね。

「食べ物がない」もスペースの関係で難しい場合が多いです。
GROWLYでは簡単なスナック菓子は常時販売しており、イベントによってはフードスタッフを入れてフード販売をすることはありますが、全てのイベントで食べ物を用意するのは難しいです。
先にも延べた通りスペースの問題、仕入れの問題、人件費の問題です。
イベントに合わせて、ライブハウスのスペースに応じて販売することは、そのイベントの色付けにもなりますので、可能な場合はやった方が良いと考えますが、常にフード販売をすることを強く求めることはいかがなものでしょう。
ドリンクの件同様、お店の考え、スペック次第だと思います。

・集客についての努力をほとんどせず、出演するバンドの集客に全面的に頼っているという「ライブハウス・集客しろ問題」
>これは海保さんの言いたいことの重要な部分ですね。
これに関しては、海保さんがどうお考えなのかはわかりませんが、私は「ライブハウスはHP、Twitter、マンスリー等の紙媒体で宣伝しているので、それ以上は出演バンドが集客の努力をすべき」だと考えております。
「集客についての努力をほとんどせず」と言われるからには、そのライブハウスはHPも何も無いのかも知れませんが。

逆に、「ライブハウスが出演バンドの集客を責任もって行う」場合の人件費を計算してみましょう。
仮に1日に5バンド出演し、1ヶ月に25日営業がある場合、そのライブハウスでは一ヶ月に125バンドが出演します。
「このバンドが出演します」と告知しただけでは集客がノルマ以下のバンドを、第三者がノルマ達成までプロモーションをするのであれば、プロモーション係が1人で1ヶ月5バンドが限界だと思います。(ブッキング等の業務とは別にプロモーション部を立ち上げた場合)
すると、1ヶ月で125バンドの集客を達成されるのであれば、25人のプロモーション係が必要です。
仮に月給が15万円だった場合、15万円×25人=390万円の人件費が必要です。
プロモーション部で25人も増員となると、事務所スペースも足りない問題が出て来ますので、かさむ経費は人件費以外にもふくれあがると思います。
そうなると、ノルマは現状の倍以上に跳ね上がりますね。笑
恐らくノルマは30〜40枚になり、それを5バンドが達成すると毎回ソールドアウト。
夢の様な話ですね。
経営者目線で考えると、あまりにも夢物語で現実味がないため、キャパが200人前後のライブハウスでは経費を回収出来ないため、そんな博打は打てません。
最低限以上のプロモーションに関しては、レーベルや事務所が請け負う仕事であり、所属が決まるまではバンドマンが行うべきだと考えています。
(あくまで単純計算の試算です。)

・本来は協力関係にあるはずの出演するバンドからお金を取ることで、商売を成立させているという「ライブハウス・チケットノルマ問題」
>こちらも言い方は乱暴ではありますが、私もバンドをやっておりましたので言いたいことは分かります。
ですので、敢えてライブハウス側の意見を書かせてもらいます。
前提として、ライブハウスは「仕事」でやってます。「ボランティア」ではありません。
例えば、スノーボードが好きで、毎年雪山に滑りにいってる人。この人は、入場料やリフト代を払いませんか?
人より上手ければ、入場料が無料になる所はありますか?
ヨガを普及させたくて、ヨガ教室を開講してる人。全ての会員を無料で教えてる人いますか?
もしかしたらいるかも知れませんが、その人は他で収入を得てるからこそ、成立してると思います。
スノーボードが好きな人、ヨガを習う人は楽しみや満足を得る代わりに、対価としてお金を支払います。
これがサービス業として当たり前の流れです。

それが何故、ライブハウスでライブをするにあたって対価を支払わないことが正当化されようとしてるのでしょうか。
逆に、ライブハウスは、ノルマ分の集客をすれば、お金払わずにライブが出来ます。
むしろ、ノルマを超えればお金だってもらえます。
こんな素敵なシステム、他の業界にありますか?
これを「問題」と言ってしまうのは、集客努力にアグラをかいてる、バンドマンの言い訳だと思います。

楽器を買う時にはお金を払う。スタジオで練習する時にもお金を払う。ご飯を食べるときもお金を払う。酒代にもお金を払う。
だけどライブハウスにはお金を払いたくない。
あまりにも都合が良く、そしてライブハウスで働く人間の人権を無視した意見です。

■「問題解決の流れ」について。
この項目では、ノルマ達成出来ないバンドがライブを自粛することによって、(都内の)ライブハウスの7〜8割を潰してしまおうという、恐ろしい陰謀論が書かれてます。笑
そして、「音楽的にも素晴らしく、集客もできる、レベルの高いバンドしかライブハウスに出演できなくなるのだ。」という海保さんの求めるエデンへと到達。

ここで指摘したい所は、「音楽的にも素晴らしく、集客もできる、レベルの高いバンド」は誰基準なのか、ということです。
音楽は芸術です。
芸術は、絶対的評価ではなく、相対的評価です。
先にも書いた通り、「集客出来るバンド」=「音楽的にも素晴らしく、レベルの高いバンド」ではないのです。
この意見で辿り着くのは、「集客出来るバンド」のみが生存するエデンです。
友達をたくさん呼べるバンドも当然生き残っています。
演奏技術が低く、音楽もオリジナリティが無くても、集客力さえあれば生き残っています。
これが海保さんの望むエデンなのでしょうか?

そしてもちろんその中には、「音楽的にも素晴らしく、レベルの高いバンド」も生き残っています。
(レベルの高いというのは、演奏技術が高いということでしょうか?)
しかし、「誰が聞いても素晴らしいバンド」というバンドは存在しないと思っています。
売れてるバンドは、TVやフェスに引っ張りだこのバンドは、誰が聞いても素晴らしい音楽をやってますか?
売れてるバンドが素晴らしくないと言ってる訳ではありません。
もちろん、人によって感じ方は様々です。それが個性です。無くしてはいけないものです。
それを素晴らしいと感じない人だっている、ということです。

「演奏技術が高いバンド」は「素晴らしいバンド」ですか?これも一概には言えないと思います。
もしそうだとすれば、演奏技術が高いプロのミュージシャンがやってるバンドは全て売れるはずです。
駆け出しのバンドも、ライブなどせず、曲も作らず、ひたすら練習したら売れるという訳ではありません。
世の中、そんなに甘くないです。

音楽の感じ方は人それぞれですので、集客出来るバンド=誰にとっても良いバンドという固定概念は持たない方が良いと思います。
(もちろん集客出来るバンドになって欲しいですが。)

■「以下、ありそうな反論」について。
海保さん : 駆け出しのバンド(数が少なくたって楽しみにしてくれるファンがいる)が場数を踏むための場所は、広めの練習スタジオにお客さん入れてやったり、ライブバー的な狭いところでやればいいと思います。
>一つの意見としては良いと思います。
ただ、ライブハウスのブッキングは「出会い」が重要だと考えてます。
上記の策だと、自分の知り合いとしか対バンを組めない(ライブハウスではないためブッカーがいないと思われます。)ので、新しいバンドや考え方との出会いが無いと思います。
また、ライブハウスのブッカーと交流を持ち、様々なアドバイスを受ける機会が無く育ったバンドは、自分やメンバーの意見しかもらええないので、視野が狭くなりがちです。
さらに、ライブハウスと上記の場所との大きな違いは、「ステージがあるか無いか」でもあると思います。
ステージでライブすること、PAや照明とやり取りしながらライブを作ることが学べないと、バンドは成長しません。
もちろん上記のやり方も一つのやり方としてアリだと思いますが、集客が(まだ)出来ないバンドはライブハウスに出るなという意見は、駆け出しのバンドの選択肢を狭くしてしまうことには違いありません。

・海保さん : 自分の動員が少ないなら、対バンの動員も大抵少ないですよね?だとするとそのやり方は効率悪いので別の宣伝方法考えたほうがいいと思います。
>これも同意する部分はあります。
しかし、僕は逆に考えます。自分たちを知らない人の前でやりたいのであれば、まずは自分たちがお客さんを呼ぶこと。
そうじゃないと、フェアじゃない。
マイナスの解決法ではなく、プラスの解決法が欲しい。
もちろん、集客が上がらないのであれば海保さんの言う様に別の宣伝方法も考えた方が良いと思います。

・素晴らしいライブハウスはきっと生き残るから安心してください。
>ここまで意見したので、GROWLYがそうなるように、努力します。

■最後に
大変長くなってしまいました。
最後まで読んで頂いた方、ありがとうございました。

冒頭にも述べましたが、今回は海保さんのブログのおかげで、このブログを書けました。
約3時間かかりました。笑
海保さんの問題提起は素晴らしいと思います。
バンドもそうですが、誰もやってないことをやることは勇気が要ります。
しかし、それを続けてこそ評価されます。
僕みたいに後からなんやかんや言うのは誰でも出来ます。

それともう一つ。
ここに書いた意見は僕個人の意見です。
ライブハウス全てが同じ意見だとは思っていません。
「うちはそんなこと思ってへんわ!」ってライブハウスの方々、怒らないで下さい。
飲みに行きましょう。笑

色んな地域、色んな規模、様々なライブハウスがあります。
僕のブログをきっかけに、ライブハウスがどう考えてるか、バンドとどう接しているか興味を持って頂ければ幸いです。

2017年5月15日
株式会社ケイピーエス
代表取締役 角田恭平(33歳独身)

---
【2018年1月17日追記】
新しいブログを立ち上げました。
今後は上記ブログを更新していきます。
こちらもよろしくお願いします。
---

5年目の夢と現実

いきなりですが、

「夢も、現実も、その両方を用意できる存在でありたい」

 

という夢が僕にはあります。

-------

 

お久しぶりです。

()ケイピーエス代表取締役角田恭平です。

 

急な報告ですが、本日、20151124日をもちまして、株式会社ケイピーエス設立4年を迎えました!

 

この4年の間に僕は店長と言う肩書きを安斎という信頼できる人間に譲り、GROWLYではオーナーと言う立場になりました。

 

このブログを読み返してみたのですが、過去3回しか書いてません。

 

実は何回か書いたものの、「これは別にブログで書かなくていいかな。。」ってなって何回かお蔵入りしました。笑
裏方が何かを表現をするのはちょっと違うかなとも思っていたからです。

しかし今日は会社設立4周年、5年目に入るということで、思っている事を書こうと思います!

 

---まずは僕の回想シーンからご覧下さい---

 

思い返せば4年と3ヶ月前、僕が店長として務めていたWHOOPEE'Sが突如閉店しました。

僕が務めた出したのは、確か21~22歳くらいだったから、約6年くらいしかWHOOPEE'Sの歴史を知りませんが、WHOOPEE'Sは25周年を迎えた歴史あるライブハウスでした。

 

僕は高校まで熊本で育ち、大学進学の為に京都へ引っ越して来た田舎者です。

田舎過ぎて、最寄りのライブハウスまで片道1時間半くらいかかっていたので、高校時代にライブハウスに行ったのは両手で数えれるほどです。

なので、僕のライブハウス経験はほぼ全て京都で培われました。

 

WHOOPEE'Sが閉店すると決定してからの1ヶ月は、色んなバンドの方々が最後にWHOOPEE'Sでやりたいとおっしゃってくれたので、予め決まっていたイベントの他にもどんどんイベントも決まり、日数が足りないので平日でオールナイトイベントをする等して、日常業務だけでも寝る暇がほとんどないくらい忙しい日々だったし、さらには閉店した以降のイベントを何とか開催すべく色んなライブハウスの空き状況を聞いてイベントをやる準備を平行して進めていたので、閉店した後の自分の仕事の事なんて何も考えられませんでした。

 

そんなこんなしてるうちに、あっという間に2011年8月25日を迎え、WHOOPEE'Sは25年余りの歴史に幕を下ろしました。

 

WHOOPEE'Sが閉店した時、僕は27歳でした。

京都にいる理由もなくなったわけですから、地元の熊本に帰るとか、例えば大阪や東京に出て仕事するとか、何かしらの専門学校や大学に通うとか、色々考えました。

 

大学も中退してますので、言ってしまえば高卒の無職(27)になったわけです。
社会的には最下層に陥ってしまったなと思ってしまいました。

 

でも、僕が20歳から京都で培って来たものだけが残ってる事に気付きました。

 

そこで今の会社を立ち上げ、今までWHOOPEE'Sでやれていたことはもちろんのこと、やるからにはそれ以上にやれることを増やしたいと思いました。

会社を登記したのが2011年11月24日。
今日からちょうど4年前のことでした。
これが僕が京都で会社を始めた理由の、大きな一つです。

〜会社登記からGROWLYオープンまでも紆余曲折ありましたが、それはまたの機会という事で割愛します〜

 

---ここまでは過去の話をしましたが、ここからは未来の話をします---

 

お金の話はリアルなので(笑)、あまりしたくないのですが、先日twitterで流れて来た吉本ユータヌキさん(@gonnakill_uta)のマンガの中に、「バンドマンはみんなかっこいいから苦労の押し売りなんてしない」というセリフがありました。

僕はその言葉にすごく共感したので、「じゃあ僕が代わりにかっこ悪い事言おうかな」なんて思ってます。笑
リアルな話は、これもまたの機会にするという事で、今回は想いの部分を書きます。

 

今のご時世、僕が真剣にバンド中心で頑張ってた時代よりも厳しくなってるという話を聞きます。

会社でやっていく、「WHOOPEE'Sでやってたこと以上って何だろう?」と考えました。
 

考えた末出た答えは、バンドを続けやすい環境を作ることでした。

そしてやるからには、表現がもっと広がる環境を作る。

それが僕がこの会社で追い続けてる事です。

簡単に言うと、「そんな時代にはオレがさせない!」っていうことです。
 

具体的かつ簡単に言うなら「①バンドの夢を実現させやすくする。②夢が実現するまでや、そしてその後の音楽人の生活の基盤を作る。そしてその①と②を同時に実現する」ことです。

これが冒頭に書いた「夢も、現実も、その両方を用意できる存在でありたい」ということです。

 

もちろん、言うのは簡単ですが実際にやると現実にブチ当たる連続です。

まだまだ、①も②も理想にはほど遠いけど、現在進行形です。

 

「じゃあハコ代もドリンク代も全部タダにしろよ!」という声が聞こえて来そうですが、そうはいきません。

過去に何かを当てて一生遊んで暮らせるだけのお金が僕にあれば話は変わって来ますが、僕は一般人です。
1つのイベントをやること、ハコを維持していくことって、想像以上にお金がかかるんですよ、、、!

(色々あるけど、一番予想外な出費が税金!でも日本で会社やってる以上は文句は言ってられません。この辺もまた後日。)


でもやっぱり、気軽にお客さんがライブハウスに来てくれる事がバンドが成長する大きな理由になると考えてるので、ドリンク代500円の維持、500円でソフトドリンクなら2杯のシステムや、たまにはチケ代激安イベント、サーキットイベント等を企画する事などに繋がってます。
少しずつですが、これからももっとお客さんが来やすいハコにしていく為にアイデアを実現していきたいと思ってます。
 

音楽は、絵や写真、映画、演劇等のいわゆる「文化」に属しています。

しかしそれは、形の無い「無固形文化」です。

今まではそれをCDDVD等の固形物に切り取り、それを販売する事で経済を回してましたが、ネット配信が進む今後は、より無固形なものになっていくでしょう。

 

今後大事になって行く事は、その無固形なもの価値をどうやって上げていくか、そしてライブという「生」の価値をいかに上げていくかです。

 

これは、今後うちの会社がクリアしていくテーマの一つでもあります。

 

バンドの在り方、生活においての立ち位置は人それぞれだと思います。

バンドだけで喰っていく事が全てだとは思いませんし、趣味としてのバンドも素晴らしいと思ってます。

 

そんな僕は、バンドで喰って行くという夢がありました。

表現を吐き出す事で、評価を得たかったのです。

20代前半で二つのバンドで挑戦しましたが、夢叶う事なく終わりました。
 

今はバリバリ活動するバンドマンではない(いつかは復活したい)ですが、裏方として、会社の代表として、表現を世に出していけたらと思ってます。

 

裏方は出しゃばらないという考え方も素晴らしいですが、5年目は裏方からももっと発信していこうと思いました。

その第一歩として、このブログを書きました。

少しだけでも、僕がどういう想いでやってるかを理解してくれたら幸いです。

 

5年目のうちの会社も、店舗/事業/従業員共々よろしくお願い致します。

 

2015年11月24日

株式会社ケイピーエス

代表取締役 角田恭平(独身)

スタジオができます

GROWLYにお越しになった方は見たことあるかもしれませんが、オープン以来倉庫のようになっていた2階をご存知ですか?もはや懐かしい光景です…
 
 
 
この度8月16日(金)にGROWLY BLDG.2階にスタジオがオープンすることになりました!
 
その名も『studio ANTONIO』!!
 
夜な夜な考えていたスタジオ名が採用されてスタッフ一同喜びに舞っています。
(ちなみに第二候補は『スタジオ・大丈夫』でした。)
 
現在着々と工事が進んでいますが、まだ全貌が見えないスタジオ。
倉庫のような面影はすでにありません…。


 
 
ざっくり説明しますと部屋数は3室。スタジオライブもできる大きめの部屋も作っています。
今まで2階をGROWLY出演者の楽屋や物販スペースとして利用していたので、2階にはGROWLY出演者用の楽屋も作る予定です。
 
8月のマンスリーの表紙にてしれっと発表されていますが、8月16日からお得な入会キャンペーンを行います!
 
8月16日(金)~22日(木)の間は2時間ご利用の方に1時間無料券をプレゼント!
気になる料金は1時間1200円~と3時間3000円~(平日昼間3人料金)となっております。
 
オープンまであと2週間!急ピッチで工事も進めています。オープンを楽しみにしてください!

2013.02.23(Sat) bed presents "turn it off~ヤング・ゼネレーション~"

 『ヤング・ゼネレーション』。自転車レースに青春を賭ける若者たちと家族の交流を描いた、青春映画の王道とも言える1979年のアメリカ映画だ。青春映画なんて言うと、青いしダサいし、なんだかこそばゆい。いつの間かそんなふうに感じるようになってしまっていた。自分でも気付かないふりで、随分と年を取ってしまったのかもしれない……なんて思っていたけれど。そんな青春映画と同じタイトルを冠したこの日のライヴに、そんな錯覚はふっ飛ばされた。
 
 トップバッターはピアノガール。京都の若手の中でも名実ともに頭ひとつ抜きんでた、今後京都の音楽シーンを牽引していくであろうこと間違いないバンド――なんて言うと大袈裟に聞えるかもしれないけれど、そこら中に蔓延する、どこにでもいるようなバンドと彼らの何が違うか、結局は覚悟の問題なんだろう。彼らのステージを見れば、それは一目瞭然。この日もヴォーカルの内田が言い放った、ステージに立つ時はいつも死ぬ覚悟だという言葉に嘘はなく、名立たる先輩バンドのステージを前に、先輩も後輩も知ったことかと、お前ら全員こっち見ろと、食いちぎらんばかりの勢いで挑みかかってくる。本気で来られたら、こちらだって真っ向から受けて立つしかない。食うか食われるかの攻防にも感じられるけれど、そんなやり取りの中で着実に彼らの音楽が浸透しているのがフロアの様子から伝わってくる。人に届ける時に何が一番必要なのか、彼らは先天的に知っているのだと思う。「すべての17才のために唄います」、そう告げて鳴らされた「17才」。潤んだ瞳でステージを見上げる少女や、彼らと同世代であろう少年たちがフロアで一緒になって唄っている姿が、とてもとても眩しいものに感じられた。
 
 
 続くLOSTAGE。本気で挑んでくるならこちらも本気を出すだけ、とでも言いたげな、張り倒されそうなほどの爆音。陰りも光も諦念も希望も、なにもかもぐちゃぐちゃにしてくれる。そうなんだ、僕らがロックミュージックに求めるのはこれなんだ。音の塊が、鼓膜に、体に、叩きつけられるのを感じながら改めてそう思う。退屈な日常を巻き込んで、飲み込んで、ぶん回して、火を放って。欺瞞や偽善が満ち溢れたつまんない世界をぶっ壊してくれなきゃ嘘なんだ。最新アルバム『ECHOES』からの楽曲を中心に構成されたセットリストの中、「僕の忘れた言葉たち」や「BLUE」など、一聴すればポップに思える楽曲も、ライブで体感するとことさらに、根底に脈々とマグマのような熱が流れているのが感じられる。その熱で、荒ぶる音で、くだらないものをぶった切り、ロックミュージックのスピリットをまざまざと見せつけてくれるLOSTAGEというバンドは、今では随分と数少なくなってしまった、信頼に値するロックバンドであると思う。途中、機材トラブルに見舞われたりもしたけれど、それでもただただひたすらに、フロアを、そして恐らく共演であった2バンドすらも圧倒し、その存在感を、空間を共有していたすべてのものに刻みつけていった。
 
 
 
 トリを飾ったのはこの日の主催者でもあるbed。さっきまでステージに渦巻いていた熱をスッと一変させ、どことなく寂寥感を灯した声とメロディが、激しくたぎっていた炎を鎮めるかのようにひたひたと沁みこんできた。決して熱を持たないわけではないそれは、例えるなら蝋燭の芯を燃やすあの青白い火のようで、不器用に感じるくらいに実直な歌にも力強さを与えている。彼らの響かせる情景にぐっと引き寄せられていく観客に混じり、フロアには彼らを愛してやまない仲間たちの姿も増えてくる。愛情込みの野次も、それに笑って応える姿も、その光景を見るだけでもう、彼らが歩んできたここまでの道のりが透けて見えるような気持ちになった。〈明日は今日より少し前に進もう〉という「ねがいごと」の一節のように、ひとつひとつ積み上げて進んできた彼らだからこその、今日のこの日の企画であったと思う。ここに至る経緯を、MCでは少し茶化して語っていたけれど、お互いを認め合い、切磋琢磨し戦える盟友を持てるのも、彼らが自分自身と音楽に誠実にあるからだろう。音が鳴ってる瞬間を目の前にそんなことを考えるのは余計なのかもしれない。けれど、ついついそんな無粋なことをしてしまうくらい、この日のbedのライブは胸に温かかった。

 
 青春の青さなんていつまでだって、それを信じて追い続ける者たちの傍らにあって、時に眩しく、時に荒々しく、そして時にしんしんと胸に積もるものなんだ。知らぬ間に終わらせていた気になっていたけど、そうじゃない。僕らが望む限り、僕たちの青春は終わることなく続いていく。そんなことを教えられた気がした夜だった。
 
 
 
 
(文・写真:新井葉子)
Page Top